NoMaDoS

一級建築士事務所

星間のオアシス

今回の新世界建築は、「宇宙」にフォーカスした作品です。

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2056年、宇宙は新たなフロンティアとなっていた。

WEB4.0とインプラント技術の普及は人類のコミュニケーションを根底から変え、地球から月、さらには太陽系外へと人類の活動範囲を拡大させていた。中でも、地球と月の間を繋ぐメビウスライン上に位置する極小人工惑星ポラリアは、人類の宇宙における憩いの場として急速にその名を広めていた。


エレナは一人の野心的な宇宙専門記者である。彼女の目標は、メビウスラインに浮かぶ様々な宇宙施設を訪れ、その魅力を世界に伝えること。今回の取材対象は、最新の人工惑星であるポラリアだった。

エレナはポラリアに到着するとすぐに、この惑星がただの娯楽施設ではないことを理解した。ポラリアの内部は複雑に設計された迷宮のようであり、ホテル、カジノ、遊園地など、あらゆる娯楽が絶妙に配置されていた。エレナは特に、自然光を模倣した照明技術により昼夜の区別なく楽しめる遊園地に驚愕した。宇宙空間に浮かぶ遊園地は、床が360度至る所にあり、地球上のどの遊園地とも異なる魔法のような体験を提供していた。

取材中、エレナはポラリアの設計者であるカイと出会う。
カイはエレナにポラリアが単なる娯楽施設以上の存在であることを語る。ポラリアは、スペースサーキュラーエコノミーの理念に基づき、宇宙デブリや小惑星から採取した資源を用いて建設された。内部で生産された資材は、外皮の拡張や他の宇宙建設プロジェクトにも供給されている。つまり、ポラリアは宇宙環境のクリーン化と資源の有効活用を実現していたのだ。

エレナはカイと共に、ポラリアの内部を掘削し、その材料で外皮を拡張する施設を訪れる。そこで見たのは、太陽エネルギーを利用して資源を溶融し、惑星間溶接技術や3Dプリンティングにより新たな施設を創出する光景だった。エレナは、人類が宇宙の資源を利用して新たな生活空間を創造していく過程を目の当たりにし、深い感銘を受ける。

ポラリアの取材を終えたエレナは、この人工惑星が人類の宇宙に対する夢と野心、そして環境への配慮を体現していることを強く感じた。彼女の記事は、ポラリアだけでなく、宇宙を人類の新たな生活圏として捉え直すきっかけを提供した。

宇宙開拓の大波が、人類の生活を豊かにする一方で、暗い影も同時に広がり始めていた。
エレナは、ポラリアに続く新たな取材の機会を得る。しかし、今回の取材は、これまでとは一線を画すものだった。
ポラリアから掘削された宇宙の貴重な資源採掘は、人類に新たな可能性をもたらしたが、これらの素材の価値が高まるにつれ、闇組織やカルテルによる高値での売買が頻発し、宇宙の闇社会は急速にその勢力を拡大していった。

この状況は、宇宙警察の権力増大を招いた。彼らは、宇宙を巡る犯罪に対抗するため、前例のないほどの権限を手に入れた。地球上のどの権力機関よりも強大な力を持つようになった彼らは、時には強引な手段も辞さない超権力組織となっていった。

エレナは、ポラリアの裏側に潜む闇社会と超権力組織の対立に焦点を当てることにした。彼女の目的は、ポラリアが人々の生活を潤す存在としてのみならず、権力の象徴としてどのように利用されているかを明らかにすることだった。


取材を進める中で、エレナはジェイクという名の若い宇宙警察のエージェントに出会う。ジェイクは、エレナに宇宙の闇社会の実態と、それに立ち向かう宇宙警察の苦悩を語る。彼の話からは、公正を期すための闘いが、時には倫理的なジレンマを引き起こし、内部での対立を生むことも明らかになった。

エレナはまた、闇組織の一員であるアリアとも密かに接触する。
アリアは、闇組織が如何にして宇宙の貴重な資源を掌握し、巨大な利益を上げているかを明かす。しかし彼女の言葉からは、組織への忠誠心よりも、生き残るための必死さが伝わってきた。

ポラリアの美しい光景の背後で繰り広げられる、闇社会と超権力組織の駆け引き。エレナは、この複雑な状況を世界に伝えるため、記事を書き上げる。彼女の記事は、ポラリアがもたらす光と影を浮き彫りにし、読者に深い問いを投げかける。

記事が公開されると、大きな反響を呼んだ。
人々は、宇宙開拓の裏側にある暗い現実に衝撃を受けつつも、これらの問題に対処するための議論が活発化した。エレナの記事は、宇宙開拓が直面する課題に光を当て、人類が宇宙という新たなフロンティアをどのように扱うべきかという議論を促進したのだった。

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ポラリアの建築物たち

ポラリア、この極小人工惑星は、その外観からして既に人々の想像を超える建造物だった。
光沢のあるメタリックな外壁は、宇宙の無限の闇の中で星のように輝き、遠くからでもその存在感を放っている。ポラリアの表面は、複数のドームと突起で構成されており、それぞれが異なる機能を持つ独立した空間として設計されていた。中心に位置するメインドームは、ポラリアの心臓部であり、ここから各施設へのアクセスが可能だ。

メインドーム内部は、高い天井から差し込む光が内部の広場を明るく照らす。この光は、外壁に取り付けられた特殊な光学素材を通じて宇宙から取り込まれたもので、自然光に近い質感を室内にもたらしていた。広場の中心には、水と光を使ったアートインスタレーションが設置されており、宇宙と地球の融合を象徴するようなデザインとなっている。

宇宙ホテルは、ポラリアの外壁に沿うように設計されており、その部屋からは宇宙の壮大な景色を一望できる。各部屋は、外壁と一体化した特大の窓が特徴で、星々や遠く離れた地球を眺めることができる。
内装はミニマリスティックでありながらも、温かみのある素材を使用し、宇宙空間にいながらも地球の快適さを感じられるように配慮されていた。

一方で、宇宙カジノは、ポラリアの一角を占める複合エンターテイメント施設の中核をなしている。この施設は、光と音の演出が施された広大な空間に数多くのゲームテーブルとスロットマシンが配置されている。宇宙をテーマにしたデザインが随所に散りばめられており、訪れる者を異世界の冒険へと誘う。天井には、宇宙の星座を模した照明が施されており、ギャンブルの興奮とともに宇宙の神秘を感じさせる。

ポラリアの建築物は、ただ機能的な空間を提供するだけでなく、訪れる者に宇宙という未知の領域に対する畏敬の念を抱かせるような設計となっている。そのすべてが、宇宙環境での人類の生活の可能性を探求し、新たな建築の地平を開拓する試みであった。
これらの建築物の描写を通じて、ポラリアが単なる宇宙施設ではなく、人類が宇宙における生活を豊かにし、そして未来への夢を形にする場所であることが伝わる。

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※この物語はフィクションです。

登場する地名・技術・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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